そのうえ、製造日から賞味期限までが6カ月の場合、メーカー・問屋が小売店に納品できるのは最初の2カ月まで。この「3分の1ルール」という商習慣が、「食べられるのに出荷できない」大量の在庫を生み出している実態があり、ルールの緩和・見直しが検討されている。
消費者庁が昨年度、18歳以上の男女3千人に行った調査では、食品ロス問題を知っている人は73.4%にのぼり、前年度比8ポイントも上昇。「賞味期限を過ぎてもすぐに捨てず、自分で判断する」人も過半数の51.3%と、同7ポイント増。賞味期限に対する寛容度の高まりを示している。
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NPO法人「全国もったいない市場」(大阪市)は、廃棄予定の賞味期限切れ食品を引き取って生活困窮者への食料支援を行うとともに、一部を会員企業を通じて販売して活動資金に充てている。
楽天市場の「パワーステーション」、ヤフオク!の「エムズマーケット」と現在はインターネット販売のみだが来月1日、大阪市内に実店舗がオープンする。
代表理事の高津博司さん(40)は、「4年前に販売を始めた当初は、『賞味期限切れ』と明記しているにもかかわらず、購入者からクレームの電話が多数寄せられた。食品衛生上問題ない商品であることや趣旨を丁寧に説明すると、逆に常連さんになってくれる方が増えていきました」と語る。
そのうえで「『訳あり』商品の潜在需要は実は大きい。廃棄予定の食品を流通させることで、食品ロスは確実に減らせます」。 今後の目標は、各地に実店舗を増やしていくことだ。
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筆者も取材を機に、1カ月前に賞味期限が切れたタイカレーのペーストを20円で買ってみた。さっそく自宅で調理すると、本格的なスパイスが複雑に香り立ち「賞味」にも全く問題なし。保管状況や期限切れの期間にもよるのだろうが、これは活用しない手はない。率直な感想だ。