モノのインターネット(IoT)や人工知能(AI)と呼ばれる先端技術を使い、太陽光パネルや蓄電池を設置した個人や企業同士が電気を売買する、双方向型の電力送配電網をつくる試みが進んでいる。将来的に電気の取引の姿も大きく変わる可能性がある。
現在の電力網は大手電力が管理し、さまざまな利用者に一方向に電気を供給している。全体の供給量と消費量が釣り合っていないと、電力網に負担がかかり停電が起きる。大手電力は刻々と変わる需要に、供給量を合わせるのに苦心している。
ベンチャー企業のデジタルグリッド(東京)はIoTにより、家庭の太陽光パネルの発電量と消費量を把握する機器を開発した。AIが自動で家庭の余った電気の買い手を探し、ブロックチェーン技術を使って記録していく次世代の電力取引を構想する。
一つの地域にある太陽光や蓄電池、電気自動車(EV)をつなぎ、AIによって発電量と需要量をきめ細かく予測すれば、地域内で電気を「地産地消」することも夢ではなくなってきた。
東京電力や中部電力などが実現に向け実証試験を始めている。