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自動車業界、定額制導入を拡大 トヨタが先陣、国内市場活性化の呼び水に (2/2ページ)

 車の定額制サービスをめぐっては、異業種や海外メーカーの日本法人も熱い視線を注ぐ。ナイルはカーリース大手のオリックス自動車と提携し、昨年1月に「カルモ」を立ち上げた。高橋飛翔(ひしょう)社長は「日本人の世帯収入が減少する中で車の所有に伴う負担感が増し、結果として若者の車離れが起きている。その状況を変えたい」と意気込みを語る。契約数は、検討中の中古車も含めて1万件に増やすことが当面の目標だ。

 メルセデス・ベンツ日本(同品川区)も、新規顧客の開拓に向けて定額制サービスの提案に力を入れる。広報担当者は「定額制によって新車を3年ごとに乗り換える流れが定着すれば、日々進化する車の技術をアピールしやすくなる」と力説する。

月々の料金軽減課題

 とはいえ、車の定額制サービスが音楽やゲームのように普及するかは未知数だ。都心に住む消費者にとっては、駐車場代や燃料代も含めると月額の負担額は決して安くないからだ。キントセレクトは富裕層を狙ったサービスとはいえ、3年間でレクサスを乗り比べる価値がどこまで受け入れられるかも読みづらい。

 KPMGモビリティ研究所(同千代田区)の木下洋パートナーは「本当に欲しい商品は購入し、何度も試したいモノは定額制サービスを使う」と分析。そうした消費者の購買行動を踏まえた上で、「月々の料金を下げるか、割高な料金に見合うだけのサービス内容に充実しなければ普及は進まない」と課題を投げかける。各社の挑戦の成否は国内自動車市場の今後を占う試金石となりそうだ。(臼井慎太郎)

 ■定額制で新車に乗ることができる主なサービス

 ◆キントワン(トヨタ)

  ・対象車種 「プリウス」「クラウン」など5車種

  ・月額料金(税別) 4万6100~9万9000円

  ・特徴 好きな1台を選び、3年間利用。料金にメンテナンスも含む

 ◆キントセレクト(トヨタ)

  ・対象車種 「レクサス」6車種

  ・月額料金(税別) 18万円

  ・特徴 3年契約。高級車を半年ごとに乗り換えることができる

 ◆カルモ(ナイル)

  ・対象車種 国産100車種以上

  ・月額料金(税別) 1万2700円(軽自動車、9年契約の場合)から

  ・特徴 契約期間は1~9年。車種選定から申し込みまでインターネット上で完結

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