【健康経営 がんと向き合う】診断されたとき、何をすべきか


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 がんと診断されて、全く平気だという人はほとんどいないだろう。家族や友人なども同じ。診断されると大体数日は物事を冷静に考えられないが、主治医は治療法を説明したり、手術日などを決めたりする。そのタイミングではきちんと判断できない方が正常だ。1週間ぐらいで鬱気味になることも多く、さらに不安感が襲う。冷静に向き合えるのは2週間ぐらいたってからだ。(GMS・竹内規夫社長)

 がんと診断されたらすぐ治療法を決めずに、落ち着いて情報をたくさん集めて冷静に判断することが大切だ。といってもインターネットや本などは情報があふれて、かえって混乱することもある。そんなときは医療コーディネーターに相談する手もある。筆者が代表を務める医療コンサルタント、GMS(東京都中央区)のがん無料相談でも、有用な情報を手早く収集できる。

 初回のがん治療は一発勝負。いったん始めたら、途中で治療前の状態に戻して他の方法でやり直すことはできない。進行の早いがん以外は、落ち着いた状態でじっくり考えることだ。1カ月治療が遅れたといっても状態はそんなに変わらない。

 医師が薦める治療に疑問があればセカンドオピニオンを受けるのも良い。転院のために受けると思う人も多いが、決してそうではない。結果的に転院もあるが、基本的には「別の意見」を聞くことで、今の主治医に戻ることが前提になる。

 ただ最近は、主治医ががん診療ガイドラインにのっとって治療法を選ぶ場合がほとんどで、セカンドオピニオンでも同じ話になることが多い。違う意見を積極的に聞きたければ、放射線治療医や腫瘍内科医など外科的手術以外の治療法に精通した医師に話を聞くのも一つの手だ。

 最先端の治療法などを教えてもらえると思い込み「セカンドオピニオン・ショッピング」を行う人が増えているが注意すべきだ。先進医療などを薦めることはまずあり得ない。

 そういった治療を受けたければ、自分で調べて専門の病院やクリニックなどに話を聞きにいくしかない。治療法は主治医が提案するものだが、患者にとって何が一番大切かをきちんと伝えよう。患者が完治を目指しているのに、主治医が延命治療を行うことも少なくない。

 自分の意思をきちんと伝えて、主治医と治療法を選ぶことが大切だ。

 高齢な人ほどリスクが高い「がん」。企業経営者ががんと診断されたときどうすべきか、治療の最前線を紹介する。

【プロフィル】竹内規夫

 たけうち・のりお 1978年、和歌山県生まれ。がん治療コンサルタント。2008年ごろから、がん患者をサポートする活動を開始。16年、がん治療専門のコンサルタントが、患者をサポートするGMSを設立し、社長に就任。