日産自動車は12日、NTTドコモと共同で、別の場所にいる人をアバター(分身)の姿で走行中の車両に登場させる新技術の実証実験を始めたと発表した。技術の検証を重ね、平成37年の実用化を目指す。将来的には自動運転車に組み合わせ、車を楽しむ可能性を広げたい考えだ。
新技術の名称は「インビジブル・トゥー・ビジブル(I2V)」。情報を伝える速さが現在の100倍となる第5世代(5G)移動通信システムを活用して実現する。
この日は日産追浜工場(横須賀市)内のテストコースで、新技術の体験会を報道陣向けに実施。体験者は、現実空間に3次元の映像や文字情報を重ねて表示できるゴーグル型の「拡張現実(AR)」端末を装着。通信機能を備えたデモンストレーション用の車両に乗り込むと、目の前に別の場所にいるデモの案内人らがアバターとして空席に現れ、走行中も同乗者として身ぶり手ぶりで話しかけてきた。
日産総合研究所の上田哲郎エキスパートリーダーは「乗車体験を革新したい」と実用化に向けて意欲を示した。例えば、遠隔地にいる観光ガイドが車両に乗り込んで運転手らにその土地の魅力を紹介したり、複数のアバターと車内で会話を楽しんだりするといった展開が想定されるという。