世界で相次ぐ大衆薬事業再編 生き残り図る 規模の拡大でコスト削減

世界の大衆薬事業の再編
世界の大衆薬事業の再編【拡大】

 薬局で購入できる風邪薬などの一般用医薬品(大衆薬)事業の再編が世界で相次いでいる。大衆薬分野は競争が激しく、広告費などで多額の経費がかかる。各社とも規模の拡大によってコストを削減して生き残りを図る狙いで、今後も同様の動きが相次ぎそうだ。

 英グラクソ・スミスクライン(GSK)と米ファイザーは昨年12月19日、それぞれの大衆薬事業を統合して新会社を設立し、GSKが68%出資すると発表した。今年後半の手続き完了を目指し、その後3年以内に株式を英国で上場する計画だ。

 GSKは統合に先立ち、スイス大手ノバルティスと手掛けていた大衆薬の合弁会社を130億ドル(約1兆4300億円)で引き取っていた。ファイザーとの統合でさらに規模を拡大する。上場で得られた資金を医療用医薬品の開発に回す狙いもある。

 GSKのウォルムズリー最高経営責任者(CEO)は「医療用医薬品の開発を強化し、大衆薬統合を成功させる自信がある」と力を込める。

 大正製薬ホールディングスは鎮痛剤などを扱うフランスのUPSAを米ブリストル・マイヤーズスクイブから16億ドルで買収する。これまで力を入れてきた東南アジアに加え、欧州での事業基盤を強化する狙いだ。「海外事業の拡大を図り、持続的な成長の実現を目指す」と説明する。

 家庭用品大手で医薬品も手掛ける米プロクター・アンド・ギャンブル(P&G)は、ドイツのメルクから大衆薬関連事業を約34億ユーロ(約4300億円)で取得した。

 一方、武田薬品工業が欧州での大衆薬事業の売却を模索していると伝わる。欧州大手シャイアーの買収に伴って悪化する財務の改善につなげる狙いとみられる。 (ロンドン 共同)