国産初のジェット旅客機「三菱リージョナルジェット(MRJ)」の開発を妨げる反競争的行為を行ったとして、三菱航空機は29日、カナダの航空機大手ボンバルディアを提訴したと発表した。ボンバルディアは昨年10月、自社の機密情報をMRJ開発に不正流用したとして、三菱航空機を米シアトルの連邦地裁に提訴していた。
三菱航空機によると、ボンバルディアはMRJが初飛行を行った2015年以降、三菱側や提携企業に対し、多岐にわたる圧力をかけてきたという。ボンバルディアによる提訴は「根拠がない」とし、「MRJの開発を阻害し、最終的に市場投入を遅らせる」のが狙いだと訴えている。
法廷闘争の背景には、両社の競合関係がある。小型旅客機のシェアは、ボンバルディアとブラジル・エンブラエルが計8割を握る。格安航空会社の広がりや新興国の経済発展で需要増が見込まれる中、割って入るのがMRJという構図だ。
また航空機業界では、プロジェクトごとにメーカーを渡り歩く技術者が多いという事情もある。そのため、三菱航空機は「エンジニアの雇用流動性を停滞させることが(ボンバルディアの)意図」だと指摘している。