政府は2018年12月19日、「特定複合観光施設区域整備法に係わる説明会」と銘打ち、全国9ブロックで実務者向けの説明会をスタートさせた。この説明会は1月の第3週まで、全国で計9回実施された。
これは有識者によるIR推進会議(議長・山内弘隆教授/一橋大学大学院経営管理研究科)がまとめた「特定複合観光施設区域整備推進会議 取りまとめ~主な政令事項に係る基本的な考え方~(案)」について、広く国民への丁寧な説明を通じ、国民の理解を得ていく趣旨で開催。説明会の皮切りは「関東ブロック」で、会場となった東京都千代田区の気象庁別館2階講堂には約260人のIR実務者(自治体、関連事業者など)が集まった。
説明会は、IR推進本部事務局の中川真次長が、主な政令事項の方向性として「IRとは何か」「IR整備法の概要」「開業までのプロセス」「弊害防止対策」「刑法の賭博に関する法制との整合性」「主な政令事項の基本的な考え方」「よく聞かれる質問への回答」にアプローチ。IR認定申請主体となり得る47都道府県、20政令指定都市からの質問などを踏まえた概要説明となった。
なお「開業までのプロセス」に関する説明において、「カジノ管理委員会」は、2019年度の予算で概算要求している段階であり、19年7月1日の発足を目指す。また、19年夏頃に政府「基本方針の策定・公表」があり、自治体は「実施方針の策定・公表」「IR事業者の公募・選定」「区域整備計画の認定申請」を行う。手続きの流れは、認定審査のうえ「区域整備計画の認定・公示」→「実施協定の締結」→「カジノ免許申請」→「カジノ免許付与」→「完成検査」→「IR開業」。開業時期については「カジノ管理委員会発足前の段階では予測困難」としながらも、シンガポールにおける開業までのプロセスを参考に想定すると「2020年代半ばになる」との見通しを示した。
一方、政府はギャンブル等依存症対策推進基本計画の閣議決定を4月に実施する予定で、同法が毎年5月14~20日を依存症問題の啓発週間と定めていることから、これに間に合うように基本計画が策定されていくことになる。
カジノを含む日本版IRの実現に向けて着実に準備が進められるなか、“ギャンブルなど”に含まれる遊技業界も「遊技への依存」をキーワードに鋭意対策を進める現状。同時に、射幸性を伴う日本独自の娯楽文化を健全に楽しんでもらえる環境整備に向け、全方位からの試行錯誤が行われつつある。