トヨタ自動車は工業利用を目的とした水素を燃料とするバーナー(水素バーナー)を世界で初めて開発し、本社工場(愛知県豊田市)の鍛造ラインに導入した。水素バーナーは燃焼時に二酸化炭素(CO2)排出量がゼロで、環境負荷物質である窒素酸化物(NOx)の排出量も主流となっている都市ガスバーナーより少ないのが特徴だ。
バーナー内で水素が激しく燃焼すると火炎温度が高温になる。高温状態が続くとNOxが多く生成されるため、水素バーナーの実用化は難しいとされていた。
しかし、このほど開発した水素バーナーは水素を緩やかに燃焼させることができる。水素と酸素が混ざらないようにしたり、酸素濃度を下げる2つの機構を設けたことで、バーナー内の火炎温度を下げることに成功し、実用化にこぎ着けた。
トヨタは車の製造時におけるCO2排出量ゼロを目指す「工場CO2ゼロチャレンジ」に取り組んでいる。同社の国内工場では工場設備の中でもCO2排出量が多い大型都市ガスバーナーを1000台以上導入しており、環境負荷低減につながる水素バーナーを他工場へ順次広げていく考えだ。