中小企業

出願初期費用ゼロ、特許身近に パテンション、「埋もれた発明」発掘ねらう (1/3ページ)

 発明を権利化するために特許庁への出願手続きを代行する弁理士。しかし、最終的に特許権を得るまでに約100万円必要で、取得できなかったとしても手数料や印紙代として、50万~60万円支払わなければならないケースもある。特許出願は費用の問題で中小事業者にとって敷居の高い存在だ。パテンションの神谷広子社長は、知的財産の権利化をより身近にするための新しいビジネスモデルで起業した。

 画期的な買い戻し式

 同社は特許出願手続きを依頼したときの着手金と取得できなかった場合の手数料がともに“無料”というこれまでにない画期的な仕組みを構築した。

 まず、特許出願を希望する人は、買い戻すことができる条件付きで権利をパテンションに譲渡する契約を結ぶ。同社は弁理士に出願手続きを依頼。弁理士は、過去の事例などを調べて、特許取得の可能性が高くなるよう申請書類を作成する。この際、調査費用8万円だけは経費として支払う必要がある。特許庁に出願後、約10カ月の審査期間を経て可否が決まる。

 特許を取得できて内容に満足した場合には、買い戻すことができる。取得できなかった場合や事業化に結びつきにくい内容になってしまったといった理由で気に入らなかったときは、買い取らずに、そのまま譲渡すれば費用はかからない。

 パテンションは、譲渡された権利を必要とする法人・個人に転売する。権利を売買する形を取ったのは、特許取得に多額の費用がかかることで中小・ベンチャー事業者が出願に二の足を踏んでいることを知ったからだ。

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