産業技術総合研究所発ベンチャーで、自動運転車向けの次世代視覚システムなどを開発するSteraVision(ステラビジョン)は、人の目と同じように高度な視覚機能を持つ、業界初の次世代のソリッドステート型スキャナー「MultiPol(マルチポール)」を開発、来年4月をめどにサンプル出荷を開始する。
同スキャナー開発のため第三者割当増資を実施、1億5000万円を調達した。ニッセイ・キャピタル8号投資事業有限責任組合と360ipジャパンファンド1号投資事業有限責任組合が引き受けた。この資金を使って開発品の精度を高め、サンプル出荷のめどをつけた。
全天候型で、自動運転車やドローンの視覚システムに応用できるほか、人が立ち入れない事故現場や視界の悪い場所でロボットなどに搭載し、計測するシステムにも活用できるという。
同スキャナーは基本的に、観測する物体に光を照射し、光が跳ね返る時間から対象物を計測する技術を使う。
同社では、人の目が視点を見たい場所に次々と移すように、レーザー光の向きを変える機能を持ったソリッドステート型デバイスを開発。従来のように画面の端から端まで順番に走査(スキャニング)する機械部分が必要なく、人の目のように、全体の画像をおおまかに捉えて、短時間に前方を走る車や信号機など、注目したい点だけを集中して高精細に計測でき、長距離の対応も可能だ。