味の素が2030(平成42)年をめどに、グループでプラスチックの廃棄をゼロにする目標を掲げたことが28日、分かった。プラスチックごみによる海洋汚染の深刻化に対応する。この問題をめぐってはストロー廃止や買い物袋の紙製への切り替えなど“脱プラ”が始まっているが、食品の包装では、密閉性の高いプラ素材が欠かせない。このため、完全リサイクルなどにより廃棄のゼロを目指す。
プラ廃棄のゼロ方針は国内食品大手では初めてとみられる。今後、競合他社も追随しそうだ。
味の素は、これまでも環境に配慮した容器包装の開発・改善に取り組んできた。昨年、「ほんだし」などのスティック包材では、プラの使用量を削減することで、主材料を示す「識別マーク」を「プラ」から「紙」に変更。年間11トンのプラ使用量削減を見込んでいる。
海洋汚染問題がクローズアップされる中、同社もさらなる対応を迫られているが、異物の混入防止などでプラ素材の使用はやめられない。
そのため、商品開発段階の取り組みに加え、プラ素材のリデュース(減量)、リユース(繰り返し使う)、リサイクル(再資源化)を徹底することで、廃棄をゼロとすることにした。今後、グループで連携し具体化を進める。
プラ海洋汚染問題では、今夏に米マクドナルドなどがストロー廃止を打ち出し、国内でも大手ファミリーレストランを展開するすかいらーくホールディングス(HD)やロイヤルHDが同様の措置を決めた。
さらに、スウェーデンのカジュアル衣料大手「H&M」を日本で展開するH&Mジャパンがプラ製レジ袋を紙袋に替え、有料にするほか、環境省がレジ袋有料化の義務付けを検討するなど、脱プラの動きが広がっている。
これに対し、ペットボトルの使用が一般的になっている飲料メーカー業界もプラ素材のリサイクルなどを進め、廃プラの削減方針を打ち出す方向だ。