QRコードを使った決済サービス事業の動きが活発だ。LINEが3年間の手数料無料化を打ち出し、ソフトバンクグループも参入を発表。8月末にはアマゾンもサービスを発表した。相次ぐIT企業の参入について、法政大学大学院の真壁昭夫教授は「消費者の決済データを獲得することで、自社を中心とした経済圏の構築を狙っている」と分析する--。
アマゾンまでもが参戦するQRコード決済
8月29日、米IT大手アマゾンは国内でQR(Quick Response)コードを用いた決済事業に参入した。QRコードとは、白黒の正方形=セルの組み合わせによって利用者に関する情報などを表し、高速に読み取ることを可能とした通信技術をいう。QRコード決済は現金を使わずに買い物代金の支払いなどを行う“キャッシュレス決済”の代表的な方法だ。
すでに、世界第2位の経済規模を誇る中国では、QRコードを用いたモバイル決済(スマートフォンなどを用いて資金の決済を行う仕組み)が社会全体に普及している。洋の東西を問わず、キャッシュレス決済の普及は世界的なブームといえる。わが国でも大手金融機関、NTTドコモなどの通信企業、LINE(ライン)、ヤフーなどのIT企業などがQRコード決済事業に取り組んでいる。その目的は、決済関連の収益を手に入れることなどだ。
キャッシュレス決済が注目されている理由にはさまざまなものがある。論点を絞るとすれば、現金の利用にはコストがかかる。その削減を目指すためにQRコード決済が注目されていると考えればよい。今後は、金融機関やIT企業などが政府と連携し、より便利かつ信頼性の高い決済方法の実現が目指されることを期待したい。
高まるQRコード決済の強み
キャッシュレス決済とは、現金(紙幣、硬貨)を用いずに資金の決済(お金の受け払いによって買い物などの支払いを行うこと)をすることをいう。その方法には非接触型の通信技術(NFC:Near Field Communication)を用いる方法、QRコード決済などがある。なお、NFCを用いた決済方式の代表例に、わが国のおサイフケータイがある。
わが国では、現金を使って買い物をすることは当然だ。しかし、海外ではこの常識が通用しづらい。コンビニでの買い物代金の支払いからサイクルシェアの利用まで、スマートフォンのアプリを用いて(現金を使わず)に実行することが増えているのだ。