貿易や投資をめぐる保護主義の強まりの中で、東京で開かれていた日米財界人会議は1日、「日本の自動車などへの追加関税」や「市場歪曲(わいきょく)的措置」に対する憂慮などを盛り込んだ日米の共同声明をまとめ、閉幕した。名指しは避けたものの、トランプ米政権の過度な保護主義的な動きや、中国の不公正な貿易慣行を牽制(けんせい)した格好だ。
日米財界人会議は年1回開かれ、今年で55回目。過去の自動車や半導体摩擦の際には、輸入規制や報復関税で激しい対立もあったが、今回は日米経済界が、保護主義に協調して対抗する姿勢をアピールしたのが特徴だ。
共同声明発表の席上、日本側議長を務める日米経済協議会の平野信行会長(三菱UFJフィナンシャル・グループ社長)は「米中間選挙や重要な通商交渉を控えるタイミングで、自由で公正な通商システムの重要性を再確認できた」と2日間の議論を評価した。
米日経済協議会のチャック・ロビンス会長(米シスコシステムズ最高経営責任者)も「危機的な状況下で、産業革新の加速化と生産性向上、貿易慣行、サイバー攻撃に対するセキュリティーの確立など、次世代経済に向けた緊急課題について議論できた」と述べた。
また、米国の自動車関税に関し、日米経済協議会の早川茂副会長(トヨタ自動車副会長)は「日本メーカーは長い間、米国の消費者に育ててもらい、米国内の雇用を支えてきた。両国の自動車産業の持続的な発展には、自由で開かれた貿易システムが重要」とした。
一方、12月30日の発効が決まった環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)に関し、ロビンス会長は「米国のTPP復帰はできなかったが、二国間交渉が始まることは歓迎だ」と語った。