大塚家具 最大規模の在庫処分奏功 10月売上高、15カ月ぶり増

大塚家具の有明本社ショールームに掲示された「在庫一掃セール」をPRする看板=東京都江東区
大塚家具の有明本社ショールームに掲示された「在庫一掃セール」をPRする看板=東京都江東区【拡大】

 経営再建中の大塚家具は1日、10月の店舗売上高(全店ベース)が前年同月比7.7%増だったと発表した。プラスに転じるのは15カ月ぶり。9月下旬から始めた同社最大規模の在庫処分セールが貢献した。大塚家具は在庫整理を通じて商品構成を現状の7割に絞り込むとともに、店舗の縮小・閉鎖も進めて小回りのきく店舗へ転換。固定費削減で経営再建を加速させる。

 大塚家具は9月28日から約1カ月間の予定で、有明本社ショールーム(東京都)などで約2万種類の商品在庫を対象に最大80%の割引セールを開始。販売好調のため、セール期間を1カ月延長している。

 セールに先立っては在庫の評価基準を見直し、2018年6月中間決算で評価損11億円余りを計上した。「115億円に上る在庫を圧縮しやすくするためだった」(同社)と説明している。

 大規模な在庫処分で、より顧客ニーズに合った商品に絞り込むと同時に、大型店を見直して中小規模の店舗への転換を進める。店舗スペースの縮小や閉店による賃料など固定費の削減も実現する狙いだ。

 18年12月期の上半期には有明本社ショールームなど2つの大型店で売り場スペースを減らし、春日部ショールーム(埼玉県)なども閉店した。賃料負担は通期予想で前年比約19%減の約76億円に圧縮される見込みだ。新宿ショールーム(東京都)は、空きスペースを資本業務提携する貸会議室大手ティーケーピー(TKP)に貸し出すことで店舗規模を縮小させている。

 大塚家具は商品を大量・安価に仕入れ、大型店で展開する販売手法で成長。しかし競争激化で販売不振に陥り3年連続の赤字が予想されており、ビジネスモデルの転換が急務となっている。