【高論卓説】中小企業における特許活動 積極的な権利行使で競争力強化 (1/2ページ)

 TBSで下町ロケットのシーズン2が放映されている。下町ロケットでは、中小企業における特許戦略にフォーカスが当てられている。いうまでもなく中小企業において特許戦略は重要だが、その特許戦略を支える日々の特許活動、すなわち、個々の特許の取り方や、取得した権利を行使することも重要である。

 まず、特許と自社製品はイコールではなく、自社製品をできるだけ抽象化した形で特許を取得することが望ましい。もっとも、発明が特許されるには公知技術と比較して新規性や進歩性が必要とされることから、自由に抽象化できるものではないが、できるだけ抽象化するのが基本だ。

 そして、もう一つ、競合がどのように回避してくるかという視点も持ってほしい。要するに、その発明の何がポイントなのかを考えてほしいということだ。特許権侵害訴訟の場面では、せっかく抽象化した発明が限定的に解釈されることがあり得る。もちろん、訴訟にならない交渉の場面でも同様だ。例えば、「ネジ」を実施例として、「ネジ」を抽象化した「固定具」という特許を取得したとする。しかし、「ネジ」のみを実施例として挙げていた場合、せっかく抽象化した「固定具」という概念が「ネジ」に限定されてしまうことがある。

 そこで、2つの材料を固定するための部材であることに特徴があるのだから、その部材は「くぎ」でもいいし、「接着剤」でもいいかもしれないという視点を持つことが重要だ。この視点を実施例に反映することで内容的にも広い権利を取得することができる。

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