民事再生法の適用を申請したエム・テックがスポンサー支援を得られず再生手続き廃止決定を受けた。建設業では今年最大となった同社の破綻は、東京五輪競技予定地の工事など様々な混乱を招き、収束のめどは立っていない。(東京商工リサーチ特別レポート)
10月1日に東京地裁に民事再生法の適用を申請したエム・テック(さいたま市、向山照愛社長)がスポンサー支援を得られず10月22日、再生手続き廃止決定を受けた。民事再生法申請時の負債は253億4933万円だった。今後は職権により破産手続きに移行する。
今後の焦点の一つはエム・テックが抱えていた仕掛り中の工事の行方。東日本大震災や熊本地震の復興工事を多数手がけ、受注残は約300億円にのぼるが、多くの工事が中断している。
◆工事の見通しは不透明に
東京オリンピック・パラリンピック関連施設の工事も中断している。エム・テックは東京都江東区のテニス競技の関連施設を15億5000万円で受注していた。だが、現場は再生手続き廃止と同時に東京地裁の保全命令の張り紙が掲示され、工事は中断している。
エム・テックが受注したオリンピック施設関連工事は、「有明テニスの森公園施設改修その他工事」(江東区)。オリンピック開催時のテニス競技会場となる「有明テニスコロシアム」の改修などは別の工事業者が手がけ、エム・テックはテニスコート17面(1万9624平方メートル )のセミハードコート舗装や競技用照明塔の設置などを請け負っていた。
2017年7月にJV方式により15億5500万円で落札。2017年10月着工で、2019年7月に完成の予定だった。