ビール大手4社による共同配送が広がりをみせている。2017年9月にアサヒビール、キリンビール、サントリービール、サッポロビールの4社が北海道で共同輸送列車の運行を開始したのに続き、今年4月からは関西・中国地区と九州地区の間での商品の共同配送を始めた。さらに、11月には、「パレット」と呼び商品を運ぶ際に使う荷役台の回収でも協力する。ビール類の販売では厳しい競争を繰り広げる4社だが、物流面では協力し、二酸化炭素(CO2)の排出量削減を目指す。
北海道では各社が、それぞれ札幌市近郊の製造・物流拠点から各地にトラックを使って輸送してきた。共同配送では札幌貨物ターミナル駅に集め、貨物列車に積載する。
特に札幌から釧路までの330キロ、札幌から根室までの450キロを鉄道輸送に切り替えることで、年間で800台分のトラック削減になる計算だ。CO2削減は年間330トンになる。
さらに、このスキームを活用して今年4月から、関西・中国と九州を結ぶ専用貨物列車を開始。各社の物流拠点から最寄りのJR貨物ターミナル駅を経て大阪と岡山に集められる。九州に到着した商品は各社の最寄りにあるJR貨物ターミナル駅から、それぞれの物流拠点へ配送される。
距離や規模が大きく、大型トラック2400台相当の長距離輸送能力を鉄道コンテナで確保するため、年間のCO2排出量は1500トンと、北海道を大きく上回る。
そして新たに取り組みを始めるのが、東北6県でのビール搬送用パレットの共同回収だ。 ビール用パレットは既に、業界統一規格となっているが、これまでは各社が個別に回収していた。これを卸売業者などの得意先からの回収を、ビール4社のうち、1社がまとめてするようにすることで、トラック使用を削減できるとしている。
各社ともに、CO2削減と同時に、人手不足対応で、物流では共同配送を活用したいとしており、今後もエリア拡大を検討している。