□住友林業コーポレート・コミュニケーション部長 大野裕一郎氏
--海外事業が好調です
米国、豪州の販売戸数は2018年度に9850戸を計画し、国内の戸建注文住宅の計画の7700棟を大幅に上回る見込みです。約半世紀にわたり、木材・建材の製造拠点を構えるインドネシア、また、タイ、ベトナムといった東南アジアでも不動産開発に進出しており、海外の住宅・不動産事業の第三の柱として収益基盤を強化していきます。
--国内事業は
10年に国は、「公共建築物等における木材の利用の促進に関する法律」を施行しました。当社も木材の積極的な活用を促進するため、中、大規模建築物の木造化と木質化に取り組み、学校や高齢者、医療、商業施設などを手掛けています。最初に施行した木造小学校は、東日本大震災で被災し、高台移転に伴って2つの小学校が統合した宮城県東松島市立の宮野森小学校です。
構造材は主にスギの無垢材で、東北材を中心に使用し、全面的に木の素材を生かした現(あらわ)しとすることで木質感あふれる空間となっています。大阪府の千里リハビリテーション病院アネックス棟は、「木の持つ治癒力」を最大限に引き出す施設で、外観、内観ともに木材をふんだんに使用しています。
--高さ350メートルの木造ビル構想が話題になりました
今年2月、1691(元禄4)年の創業から350年を迎える2041年を目標に、高さ350メートル、地上70階の木造の超高層ビルを建設する研究技術開発構想「W350(ダブリューサンゴーマル)計画」を発表しました。Wは「Wood=木」のことです。建物は約9割を木材で構成する木鋼ハイブリッド構造で、この計画で使う木材は約18万5000立方メートルで、当社の木造注文住宅の構造材の量で換算すると、約8000棟分に相当します。使用する木材は約10万トンのCO2を吸収し、固定します。
記者発表には、社長の市川晃、筑波研究所長の中嶋一郎が登壇。新聞、雑誌、テレビなど31社50人に取材いただき、当日のニュース番組や翌日の紙面で報道されました。国内はもちろん、海外からも大きな反響があり、手応えを感じることができました。