JR東海「そうだ 京都、行こう。」プロジェクト 巨大御朱印はTechShop Tokyoで生まれた (1/2ページ)

【HILLS LIFE Daily】57cm四方の巨大なはんこをつくらないといけない。しかも、制作に遅れは許されない。そんな状況に陥ったら、会員制オープンアクセス型DIY工房「TechShop Tokyo」(東京)の門を叩いてみてはどうだろう? JR東海の「そうだ 京都、行こう。」プロジェクトの一貫として、2018年9月1日から京都市内の5つの寺院で展示されている苔を用いたアート作品「モシュ印」。そのゴム印部分を3日間でDIYした株式会社アマネクの月岡信哉にTechShop Tokyoでの「ものづくり」について聞いた。

「巨大御朱印」の素材となった厚手のゴムは、TechShop Tokyoのレーザーカッターで切り抜かれた。

「巨大御朱印」の素材となった厚手のゴムは、TechShop Tokyoのレーザーカッターで切り抜かれた。

「『モスグラフィティをお寺でやってみたい』という、会議での無邪気な発言がきっかけでした。『そうだ 京都、行こう。』というプロジェクトに関わるなかで、海外でブームになっている苔で描くアート・モスグラフィティの企画が通ったんです。ただ、苔はいつ生えるか分からないので難しいということで、結果として苔の御朱印『モシュ印』の制作が決まりました」

株式会社アマネクで代表を務める月岡信哉は、自身がTechShop Tokyoで57cm四方の巨大なはんこをつくることになった経緯を、こう語る。『そうだ 京都、行こう。』にデジタルコンサルティングとして参画している同社の本業は、アナログの「ものづくり」ではない。もともと、自分たちではんこをつくるつもりは全くなかったという。

「苔に詳しい大阪府千早赤阪村の造園家と『モシュ印』づくりに取り組んだのですが、制作スケジュール上、文字の部分の制作に専念してもらうことになりました。結果、はんこの部分は自分たちで引き受けるという判断に至ったんです。ただ、社員がサイズを試算したところ、一辺の長さが50cmを超えることになった。そんなもの普通の印鑑屋さんだとつくれませんよね(笑)」

今回のカッティングに用いられた、印影のデータ。京都の寺院の「御朱印」をスキャンしたもの。

今回のカッティングに用いられた、印影のデータ。京都の寺院の「御朱印」をスキャンしたもの。

まず月岡は、以前自身の会社のエントランスパネルをレーザーカッターで社員がつくっていたことを思い出す。レーザーカッターでハンコをつくれないかと考えたのだ。しかし、以前つかったメイカースペースに備え付けられたマシンのサイズが小さすぎることを知り、ネットで検索。そして、100cm×61cmまでカッティングできるレーザーカッターをもつTechShop Tokyoの門を叩くことになった。

「『巨大なスタンプをつくりたいんです』と、電話で無邪気にご相談したところ、素材からご提案いただきました。勧められたゴムをすぐに発注し、SBU(TechShop Tokyoで工作機器利用前に義務付けられている安全&基本操作研修)を受けて実際の制作に臨みました」

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