ダイコク電機DK-SIS室の片瀬宏之室長【拡大】
この秋、導入が本格化する「設定付きパチンコ」。2月の規則改正でパチンコにもパチスロ同様、最大6段階の設定を搭載することが可能になった。
これにより、店舗での運用幅の拡大に加えて、ファンが「玉が出る」という感覚を持つことができる環境を積極的に作れることがメリットとして期待されている。今回は「設定付きパチンコ」の現場での運用について、ダイコク電機(名古屋市中村区)DK-SIS室の片瀬宏之室長に話を聞いた。なお、DK-SISは同社が提供する情報戦略システム。現在、遊技機台数で146万台と市場の約33%のデータを保有し、遊技業界の動向を実績データで見ることができる。遊技業界では広く認知されており、金融機関など、業界外からも高い関心が寄せられている。
まず、片瀬氏は設定付きパチンコについて「4円パチンコの稼働を上げるための転機になる」と指摘。Fan-SISのデータでは、20~30代で4円パチンコの遊技参加率が高く、50代以上は1円パチンコか甘デジを遊技する傾向が強いことが把握されている。そのような背景で設定付きパチンコは、パチスロ遊技に慣れている若年層から中年層の遊技が見込まれる。ゆえに、4円パチンコ市場の活性化を図るためにも「ファンも店舗もWIN-WINになるようにとの思いで導入し、稼働を上げる運用が重要だ」と強調する。
パチンコホールが高設定を活用し、薄利で運用することでファンの遊技動機も高まる。また稼働が上がることにより薄利多売が可能となりパチンコホールの収益構造も改善する。
そうなれば、営業上の体力も増え、ファンにとっても有利な条件が増える。実際、業界初となる設定付きパチンコが市場に導入されて約1カ月が経過するが、1時間あたりの平均台粗利金額が約700円という低粗利で運用されている。「同時期に登場したその他6機種の1時間あたりの平均台粗利金額が1460円ということを考えると、これは同ジャンルの機種に対するパチンコホールの期待と、ファンを育てたいという姿勢の表れである」と片瀬氏は評価する。
さらに「パチスロ客のパチンコ遊技という店内回遊も期待され、店舗のにぎわい感も増す」と続ける。そのゲーム性から業界の次世代を担うファン層がターゲットになるなか、今後はファン育成に視点を置いた運用の継続と、複雑化する遊技機の性能を的確に把握し、魅力を引き出せる遊技機管理のスキルの向上が求められるといえよう。