□旭川大学客員教授・増山壽一
ついに来年の4月末をもって平成の時代が終わり、新たな元号の世が始まる。元号は中国王朝にその源を持ち、朝鮮半島やベトナムなどにも広がったが、今でも維持しているのは日本だけだ。
明治以降、天皇の即位から崩御まで同じ元号を使う「一世一元制」を定めた。このため天皇が退位された後の追号として、元号があてられることが一般的となった。
元号を決めることは、これからの新たな天皇の時代に名前を与えて世の中の「気」を変える意味がある。浩宮さまが天皇として在位する時代にふさわしい、これからの世の中のよい意味での変化を祈ったものになってほしい。
いまから30年前。私は人事院の留学でフランスに行く前に、浩宮さまと、東宮御所で留学前の心構えなどをお話しする機会を得た。浩宮さまの落ち着いた気品あふれる態度や、お言葉に深く感銘したことを覚えている。そのご縁から新元号をぜひ考えてみたいと思った。
元号は「元号法」によって、政令で定められる。まず、テクニカルな理由から「明治」「大正」「昭和」「平成」といった過去に使われた元号のアルファベットの頭文字が、かぶらない配慮がなされると考える。役所などに提出する公的文書では、元号の省略に「M」「T」「S」「H」がすでに使われているからだ。
国民すべてに愛される元号である必要性から、書きやすい、声に出しやすいという要素や、過去の元号と重複しないことも大切なことだ。さまざまな検討を経て、漢籍の中からふさわしいものが選択されるだろう。