三越伊勢丹HD、伊勢丹相模原店など3店を閉店へ 地方や郊外百貨店は不振続く

閉鎖が決まった新潟三越=26日、新潟市中央区西堀通(太田泰撮影)
閉鎖が決まった新潟三越=26日、新潟市中央区西堀通(太田泰撮影)【拡大】

  • 会見で説明する三越伊勢丹HDの白井俊徳・常務執行役員(左)ら=26日、東京都千代田区(柳原一哉撮影)
  • 会見に臨む三越伊勢丹ホールディングス構造改革推進部の平松潮路部門長(左)と新潟三越伊勢丹の星野圭二郎社長=26日、新潟市中央区の第二西堀ビル(松崎翼撮影)

 三越伊勢丹ホールディングス(HD)は26日、伊勢丹相模原店(相模原市)、伊勢丹府中店(東京都府中市)、新潟三越(新潟市)の3店を閉鎖すると発表した。地方や郊外店舗は売り上げ不振が続いており、採算性の低い店舗の閉鎖により収益構造の改善を急ぐ。

 三越伊勢丹HDによると、相模原店は売上高が平成8年度にピークの377億円をつけたが足元では195億円(29年度)に減少。府中店も最大261億円から148億円へ、新潟三越でも250億円まで拡大した後、129億円に落ち込んだ。

 背景には、インターネット通販の台頭やショッピングセンター(SC)などとの激しい競争があり、白井俊徳常務執行役員は同日の記者会見で、「(SCなどと)差別化できなかった。これまでの業態では(事業の)継続は無理だ」と述べた。

 相模原店と府中店は31年9月30日、新潟三越は32年3月22日に営業終了する。相模原店は保有不動産を売却するが、府中店は新たな商業施設などへ業態転換を目指す。新潟三越は近隣の新潟伊勢丹と統合する。

 三越伊勢丹HDの30年3月期連結決算は構造改革に伴う特別損失を計上し、最終損益が9億円の赤字(前期は149億円の黒字)で、8年ぶりの赤字に転落した。杉江俊彦社長のもとでリストラを進め早期退職者募集のほか、今年3月には伊勢丹松戸店(千葉県松戸市)を閉鎖。新たに3店閉鎖することで都心店などに経営資源を集中させる。

 百貨店業界は、都心店が富裕層に加え訪日外国人観光客らの需要に支えられ好調だが、人口減の影響を受ける地方店で不振が続く。日本百貨店協会によると、29年の売上高は東京など主要10都市で前年比1・2%増の4兆1182億円だったのに対し、それ以外の地方は2・3%減の1兆8350億円だった。