プラスチックによる海洋汚染が深刻化する中、石油化学工業協会の森川宏平会長(昭和電工社長)は20日の定例会見で、「プラスチックが普及した背景も含めて事実をしっかりと見極めてほしい」と注文を付けた。
原油から精製されるナフサを使ってプラスチックなどの石油化学製品の原料を造る業界として森川氏は「食品の包装にプラスチック製品が使われたことにより、(鮮度が維持され)食品廃棄が減った」と強調。また、部品が金属などからプラスチックに置き換わったことを挙げ、「自動車の軽量化が実現して燃費向上につながった」と貢献ぶりをアピールした。こうした背景を踏まえずにプラスチックを“悪玉”にすることに森川氏は「プラス面はどう考えるのか」と述べ、不快感を示した。
石化協は今月7日に「海洋プラスチック問題対応協議会」の設立を決めた。プラスチックごみの削減や情報発信などに業界を挙げて取り組む考え。
また、石化協の鍋島勝副会長(丸善石油化学社長)は同日の会見で、「7月から石油化学品を値上げし始めたが、(価格高騰が)常態化すれば再値上げも必要だ」と述べた。
米国の対イラン制裁再発動をめぐる供給減少懸念で原油価格が高騰する中、大手化学メーカーが石油化学製品の値上げに踏み切る動きが相次いでいる。