【高論卓説】自動車産業にとって米は敵ではない 第2の母国市場、ともに発展の道探れ (1/2ページ)

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 電撃的な米国-メキシコ(墨)の2国間貿易協定が妥結し数週間が経過した。米国-カナダの交渉が妥結し、北米自由貿易協定(NAFTA)の修正にこぎつけるか否かは9月末がタイムリミットである。米国の対中関税第3弾(2000億ドル相当)の発動が24日に控え、第2回目の日米貿易協議(FFR)が21日と、米国の通商政策をめぐる緊張感がいや応なしに高まっている。

 株式市場は、8月28日の米墨合意を受け、NAFTA交易条件の変更や対日関税リスクを懸念し、株価は下落に転じた。多大なリスクを認識しながらも、米中・米欧の応戦を対岸の火事のように眺めていたが、米墨合意を受けて国内自動車産業への悪影響が具体的に意識され始めてきた。

 米墨合意の内容は、(1)NAFTA現地調達率を75%に引き上げ(2)最低時給16ドルの工場で生産する割合を40~45%(3)メキシコからの対米輸出台数は240万台上限(2017年実績170万台)・自動車部品輸出枠900億ドル(同630億ドル)など、大きく3点あった。

 この条件面で有利な結果を得られるのは米国デトロイト3であり、日欧韓の自動車産業への特恵関税のメリットは大きく後退する。唯一、現地化が大きく進んでいるホンダは上記の条件を満たす可能性が高く、交易条件面ではデトロイト3に近いメリットがある。

 今後の展開は3段階あるだろう。第1に、米国-カナダの交渉だ。両国関係は想像を超えて悪化しており、時限とされる9月末までの合意の確率は不透明だ。しかし、紆余(うよ)曲折はあっても、米国-カナダの自由貿易協定(FTA)はどこかの時期に合意できる可能性が高いと考える。

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