【高論卓説】加熱式たばこ「特許紛争」 後発劣勢、訴訟回避への戦略不可欠 (1/3ページ)

加熱式タバコ(左から)グロー(glo)、アイコス(iQOS)、プルーム・テック(Ploom TECH)
加熱式タバコ(左から)グロー(glo)、アイコス(iQOS)、プルーム・テック(Ploom TECH)【拡大】

 皆さんは、たばこを吸われるだろうか。日本たばこ産業(JT)の全国喫煙者率調査によれば、2018年の喫煙率は、男性が27.8%で女性が8.7%だった。ピーク時の1966年では男性83.7%、女性18.0%だから、かなりの低下である。しかし、人々がたばこからどんどん離れ、喫煙者の肩身がどんどん狭くなっていく状況に、たばこ業界も手をこまねいているわけではない。

 そう、加熱式たばこ(iQOS=アイコス、glo=グロー、Ploom TECH=プルーム・テック)の誕生である。まさに、たばこ業界のイノベーションである。

 先日、IQOSを製造・販売する米フィリップモリス(PM)のスイス法人が、電気加熱式喫煙システムの特許権に基づき、gloを製造・販売する英ブリティッシュ・アメリカン・タバコ(BAT)の日本法人を提訴したと報道された。訴訟記録によれば、PMは、BATに対し、gloおよびglo専用たばこの販売差し止めと1億円の損害賠償を請求している。なお、1億円の請求は一部請求のようである。

 筆者の整理では、加熱式たばこにも実際にたばこのスティックを差し込むタイプと、そうでないタイプの2つのタイプに大別されるように思える。スティックタイプの代表例がiQOSおよびgloであり、Ploom TECHは非スティックタイプである。スティックタイプのiQOSおよびgloの販売開始を見る限り、スティックタイプのマーケットでは、iQOSのPMが先行しており、gloのBATは後追いであると考えられる。

続きを読む