人工知能(AI)があなたの食べ残しをチェックします-。日立製作所傘下の日立ソリューションズ・クリエイト(東京)が、患者の病院食の食べ残しをAIで分析する事業を2019年3月末までに始める。患者の栄養状態の改善を支援し、早期回復につなげる。
献立や食事前の配膳(はいぜん)写真から、カロリー計算や栄養成分をはじき出すAIは事業化が進んでいるが、食べ残しの分析は世界でも珍しい取り組みという。
病院食は個々の患者の病状やけが、体質に合わせ献立を作るが、食べ残しが続くと回復にも影響する。AIによる食べ残しの分析で、苦手な食材や料理を献立から外し、代わりの食事で必要な栄養成分を摂取できるようにする。
日立は既に国内の大手病院と提携し実証実験を進めている。病院内で食事後の患者のトレーを回収し、台車に備え付けたカメラで皿などを撮影。画像データをクラウド上に収集し、自ら学習する「ディープラーニング(深層学習)」と呼ばれる技術を使ったAIに分析させている。
食事前の配膳写真の分析と違い、食べ残しは残した分量や食べ方によってさまざまなパターンがあるため画像分析が困難だった。日立は独自技術で課題を解決する。病院食の食べ残しはこれまで看護師の目視による確認が一般的だった。大きな病院だと看護師の負担が重くなることに加え、栄養の専門家ではないため、丁寧な分析が行われてこなかったという。