損害保険大手のSOMPOホールディングス(HD)が中国に進出する取引先に対し、大規模災害などに備えた事業継続計画(BCP)の実効性を検証するサービスを月内に無償で始めることが20日、分かった。こうしたサービスを中国で無償提供するのは業界初。中国で事業を拡大する取引先が増加する中、災害対策の問題点を洗い出し、業務中断の防止や早期復旧の支援につなげる。
BCPの検証は「図上訓練」と呼ばれ、災害発生などのシナリオを作成し、BCPに沿ってどう対処するかをシミュレーションする。この結果を踏まえ、既存のBCPで欠落している部分を探り、再構築を提案する。「作って終わりではなく、訓練で成熟度を上げることが重要」(SOMPOHD担当者)という。
まずは中国のグループ会社の取引先約3500社を対象に、火災爆発と物流事故の発生を想定した図上訓練を無償提供する。中国では災害のほか、法制度の急な変更などで事業が停止する特有なリスクもあり、この訓練は有償で提供する。
SOMPOHDの調査によると、中国進出企業のうち現地でBCPを策定済みの企業は3割弱にとどまる。日本とは異なるリスクが多数あるにもかかわらず、日本のBCPを焼き直して使っている企業も多いという。
このため、現地で蓄積した災害や事故のデータ、国内で培ったBCPコンサルティングノウハウを生かし、取引先の支援に乗り出す。今後は東南アジアでのサービス展開も予定する。