猛暑による冷房使用の増加で電力需要が拡大し、東京電力や中部電力などでは今夏、電力需要実績が東日本大震災後で最大を更新する日があった。それでも政府は「十分な供給力は確保されている」とし、企業や家庭への特別な節電要請には至っていない。
埼玉県熊谷市で国内観測史上最高の41.1度を記録した7月23日。東電管内では午後2~3時に電力需要実績が5653万キロワットと震災後で最大を更新し、昨夏の最大値(8月9日の5383万キロワット)を上回った。
ただ、この日のピーク時の供給力は6091万キロワットで、供給力の余裕を示す予備率は7.7%と、電力の安定供給に最低限必要とされる3%以上を確保した。
この日は中部電の管内でも、午後2時台の電力需要実績が2607万キロワットと震災後で最大を記録。それでも予備率は12.0%と、供給余力は十分だった。
連日の猛暑でも電力が足らない事態に陥っていない背景の一つに、節電や省エネの定着が挙げられる。
震災後はしばらく電力不足が深刻化し、東電管内の一部で計画停電が実施された。東電の送配電事業会社の担当者は「震災以降、節電意識の高まりや省エネ機器の普及などで、電力需要が一定水準で抑えられている」と指摘する。