旅客船の運航事業者で構成する日本旅客船協会によると、業界を取り巻く経営環境は厳しい。近年は燃料高に加え、船員の高齢化も進む。運航会社の努力で航路を維持しているのが現状で、大災害が今後起きた時、航路がなくなっている可能性は否定できないという。
名古屋大大学院の加藤博和教授(公共交通政策)は「非常時のためにフェリーを維持しようと思えば、平時の利用を促したり、公的に支えたりする仕組みが必要」と強調する。「行政は地域の事情に合わせ、どの交通機関を維持していくのか、市民も交えて議論していかなければならない」