【Sakeから観光立国】琉球泡盛輸出セミナー盛況

琉球泡盛輸出セミナーで講演する筆者=6月27日、那覇市
琉球泡盛輸出セミナーで講演する筆者=6月27日、那覇市【拡大】

 □平出淑恵(酒サムライコーディネーター)

 ジェトロ沖縄と沖縄県酒造組合の主催による「琉球泡盛輸出セミナー」が先月27日、那覇市内の内閣府沖縄総合事務局で開かれた。他の自治体に比べてインバウンド(訪日外国人観光客)が多い沖縄で「観光客に泡盛をどんどん売り込むのも、ある意味輸出促進となり、海外に泡盛のファンを増やすことになる」(西澤裕介ジェトロ沖縄所長)という狙いも含めて、泡盛の輸出を図るセミナーだ。

 対象は県内の酒造会社や観光産業、琉球泡盛輸出促進プロジェクトの関係者だったが、定員40人を大きく上回る70人を超える参加者が集まった。

 筆者は講師として「SAKEから観光立国」をテーマに、日本酒の国際化活動について紹介した。もう一人の講師、ティル・ウェーバー琉球大学教授はドイツ出身ながら沖縄で20年以上生活している豊富な経験から「泡盛の魅力をどのように外国人に伝えるか」について語った。

 日本産のウイスキーに高値がつき、日本産のクラフトビールやクラフトジンまで海外で話題となっている。それらの酒類は昔から海外に存在し、取り扱うプロフェショナルや愛好家が市場を作っているので、そこに品質の良いものを紹介すれば広がるという状況にある。

 しかし日本独特の酒類である日本酒や焼酎、泡盛は違う。これらを海外に広めるには、酒を紹介するだけでなく、取り扱う人材から育成して市場を作っていかなければならない。

 まして泡盛は、全都道府県に酒造会社がある日本酒とは違い沖縄にしかない。半面、その地域性や背景にある独特の琉球文化と食、そして47都道府県中、第5位というインバウンドの多さを考えると、海外からやってくる観光客に泡盛のホームである沖縄で魅力を伝える体験を提供してファンを増やす方法が可能であり、有効だろう。

 特別な体験を求めながら世界を旅する人たちが、泡盛体験をSNS(会員制交流サイト)などで発信することが、泡盛の世界進出のきっかけとなるのではと特別な古酒を飲ませてもらいながら思いをめぐらせた。

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【プロフィル】平出淑恵

 ひらいで・としえ 1962年東京生まれ。83年、日本航空入社、国際線担当客室乗務員を経て、2011年、コーポ・サチを設立、社長に就任。世界最大規模のワイン審査会、インターナショナル・ワイン・チャレンジ(IWC)のアンバサダー。日本酒蔵ツーリズム推進協議会運営委員、昇龍道大使(中部9県のインバウンド大使)などを務める。