■ニーズ探り、求められる「賢い」カメラに
企業のセキュリティー意識の高まりや、人工知能(AI)、IoT(モノのインターネット)の普及を見据え、カメラとインターネットがつながる「ネットワークカメラ」市場が有望視されている。最新のクラウドや画像解析技術を使い、録画した映像をスマートフォン、パソコンで簡単に見ることができるサービスを運営するセーフィー(東京都品川区)も市場を牽引(けんいん)する“有望株”だ。従来の監視カメラの用途だけにとどまらず、人間の頭脳の代替となる「賢い」カメラの実用化を目指している。
臨場感あふれる映像追求
クラウド録画サービス「セーフィー」の開発の直接のきっかけは、佐渡島隆平社長が2014年春、新築した自宅に設置した監視カメラの性能について、最新の映像技術と比べて大きな隔たりを感じたことだった。「防犯カメラは高額にもかかわらず、静止画レベルの映像品質。しかも、何か起こってもいつでもどこでも映像を見ることができなかった」(佐渡島さん)
佐渡島さんは、アウトドアスポーツ中の光景を撮影することに特化した小型デジタルカメラ「アクションカメラ」に着目した。「自宅の塀にアクションカメラを設置し、臨場感あふれる映像を瞬時に見ることができたら、誰もが欲しがるだろうな」と思いついたのだ。
カメラの高性能化、画像解析技術の進歩、システムの低コスト化により、ネットワークカメラの用途が防犯目的だけでなく、さまざまな用途に広がる可能性がある。佐渡島さんは「こうした新しいビジネスのプラットフォームを構築するためには、あらゆるメーカーや技術者との協業が不可欠であり、大企業とはいえ1社だけの技術力やサービス力では限界がある」と判断。同じ年の10月、佐渡島さんは同僚2人と一緒にソニーグループの顔認識技術を開発する会社を退職し、セーフィーを創業した。