日立化成、電池で不正検査 500社に6万台納入、社長が陳謝

記者会見で謝罪する日立化成の丸山寿社長(左)ら=29日、東京都中央区
記者会見で謝罪する日立化成の丸山寿社長(左)ら=29日、東京都中央区【拡大】

 日立製作所グループの日立化成は29日、工場の非常用電源に使う産業用鉛蓄電池の検査成績書に不適切な数値を記載する不正行為があったと発表した。名張事業所(三重県名張市)で製造した約6万台で、納入先は約500社。顧客などに今後説明し、外部専門家による特別調査委員会を設置して原因を究明する。

 顧客と取り決めた出荷時の試験を行わずに実測値と異なるデータを書き込んで提出していた。同事業所の品質保証部長が今年5月に所長へ不正を報告し、6月になって本社が把握。2011年4月から今年6月までの製造分を調査したところ、一部は原子力発電所で使われているが、安全性に問題は確認されていないという。

 同日、東京都内で記者会見した丸山寿社長は、不正の背景について「製造工程で性能が確認されていれば問題ない、という安易な考え方があった」と説明。「徹底的な事実確認と背景の調査を行い、私自身が率先して信頼回復に努めたい」と述べ、陳謝した。2019年3月期の連結業績に与える影響は不明としている。

 産業界では近年、自動車や鉄鋼などのメーカーで不正が相次ぎ、経団連が昨年12月に自主調査を呼び掛けていた。