経営再建中の液晶パネル大手ジャパンディスプレイ(JDI)の月崎義幸社長は29日、フジサンケイビジネスアイの取材に応じ、車載向けの売上高を年率10%以上伸ばす考えを明らかにした。電気自動車(EV)や自動運転車の普及に伴い液晶搭載が増える中、省エネ性能などの製品の特徴を売り込んで達成を目指す。また、資本増強に向けて「新たなパートナーを探している」とも述べた。
JDIは、車載向けの販売を強化しており、2017年度は売上高が1000億円を突破した。月崎氏は、世界の新車販売台数は年率2%程度伸びているのに対し、車載向け液晶は、1台当たりの搭載数の拡大で年率7~10%の伸びが見込めると指摘。EVの販売が伸びている中国や米国での販売を伸ばして、市場の伸びを上回る10%以上の成長を目指すとした。
JDIの18年3月期の連結決算は、スマートフォン向けの販売減少や構造改革費用などで最終損失が2472億円と4期連続の赤字を計上。財務健全性を示す自己資本比率も13%と低く、財務体質の改善が経営上の急務となっている。このためJDIは、発光ダイオード(LED)製造大手の日亜化学工業(徳島県阿南市)などを引受先とする計約350億円の第三者割当増資の実施や、能美工場(石川県能美市)の約200億円の売却で計約550億円を調達した。ただ、月崎氏は「財務強化は永遠の課題」と述べ、新たな出資先の検討を進めているとした。