大阪北部地震の被災地を走る大阪モノレールが復旧に手間取っている。モノレールとして日本最長で、構造上、保守点検に時間がかかるためだ。交通網拡充に向けた延伸計画も進むが、災害対応という課題が浮かび上がってきた。
支線を加え計28キロを営業区間とする大阪モノレールは、地震翌々日の20日になって一部の運転を再開。全面開通は22日ごろの見通しだ。JRや大阪メトロ、私鉄各社は翌日の19日までに大部分で運転を再開しており、遅れが目立つ。
運営する大阪高速鉄道によると、線路を歩いて点検する鉄道と異なり、モノレールは専用の点検車を使用する。地震では18本が運行停止。その後の作業では、まず点検車が車庫と停止場所を往復して安全を確認し、次に1本ずつ車庫に移動させる工程を繰り返している。点検中は停電させる必要もある。
府都市交通課によると、大阪モノレールは、2029年に門真市から南の東大阪市まで約9キロ延伸する計画がある。大阪の中心部から延びるJRや私鉄などをつなぐ路線として期待されるが、点検のさらなる長期化への懸念も出てきた。
府の担当者は「延伸に伴い車庫が増設される予定で、作業上の条件は良くなる」と強調するが、大阪高速鉄道運輸部の担当者は「距離が長くなると作業時間は増える。効率的な点検が今後の課題だ」と認めている。