【ハザードマップ】サンメンテナンス/ジーンズショップオサダ

 ■資金繰り苦しい中で粉飾決算発覚

 ▼サンメンテナンス サンメンテナンスは6月11日、大阪地裁に民事再生法の適用を申請した。

 同社は1975年6月創業のビルメンテナンス業者で、清掃や医療施設衛生管理、設備管理、保安管理、駐車場管理など多岐にわたる総合管理業務を手掛けていた。サービス強化や高い価格競争力で公立病院などに受注基盤を確立し、全国48カ所に拠点を設置。2017年3月期には売上高約60億8700万円を計上していた。

 しかし、急激な業容拡大に伴う借入負担などから窮屈な資金繰りが続き、取引先に対する支払条件の変更要請がたびたび発生するなど、信用力は低下。金融機関に借入金返済のリスケジュールを要請したが、そのなかで売り上げの架空計上などの粉飾決算が発覚、多額の債務超過に陥っていることが判明した。

 大阪府中小企業再生支援協議会のもと再建を図ってきたが、先行きの見通しが立たないことから民事再生法による再建を目指すこととなった。

 ▼ジーンズショップオサダ ジーンズショップオサダは6月8日、東京地裁に民事再生法の適用を申請した。同社はジーンズなどのカジュアル衣料を販売。静岡県内を中心に店舗数を拡大し、2006年8月期は売上高46億6758万円を上げた。

 しかし、リーマン・ショックの影響で09年8月期の売上高は約42億1900万円と大幅に落ち込み、赤字に転落。その後、一時的に売上高が回復し、黒字に戻ったが、ファストファッションの登場に伴う値引き合戦や、静岡県内に大型の衣料品店が進出し競争が激化したことで14年8月期は再び赤字に転落した。

 その後、静岡県外に店舗を進出するなどして売上高の回復を図ったが、採算性が悪く計画通りに進まなかった。また、17年4月以後、在庫品を一度全額返品し、委託販売に切り替えることで資金繰り破綻を回避するなどの努力をしたが、売上高の減少に歯止めが掛からず、資金繰りを維持することができなくなり今回の措置となった。

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【会社概要】サンメンテナンス

 ▽本社=大阪市中央区

 ▽設立=1979年12月

 ▽資本金=5000万円

 ▽負債額=約35億5000万円

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【会社概要】ジーンズショップオサダ

 ▽本社=静岡市清水区

 ▽設立=1971年12月

 ▽資本金=3000万円

 ▽負債額=15億9521万円

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 〈チェックポイント〉

 サンメンテナンスは対外的には拡大基調だったが、実際は売り上げの架空計上などによる粉飾決算で糊塗(こと)していた。コンプライアンス違反はこれまで築き上げた信用を一瞬で吹き飛ばす裏切り行為でしかない。金融機関や再生支援協議会など、再建に協力してきた関係者を巻き込み、その努力を霧消させてしまった。

 ジーンズショップオサダは県内では抜群の知名度を誇ったが、他県に進出した店舗では苦戦し赤字が続出。牙城だった地元でも全国展開するファストファッションに押された。低価格化とネット販売が進むカジュアルウエア業界、大手が市場を席巻し、地元に根付く地域一番店でも厳しい経営環境が続いている。(東京商工リサーチ常務情報本部長 友田信男)