マザーズ上場を果たしたメルカリは、人工知能(AI)を活用した出品の監視を強化している。違法な商品が出品されると瞬時に取引停止を判断するとともに、商品に問題がない場合でも、盗品の出品など出品者の異常行動を検知できるようにしている。上場で認知度が一段と高まり取引増加が見込まれる中、AIを使っていち早く問題のある取引を検知し、信頼性の確保につなげるのが狙いだ。
「不正をAIで検知することは容易に競合がコピーできるものではない。日本を代表するテックカンパニー(技術企業)になる」
創業者の山田進太郎会長は記者会見でこう強調した。
メルカリでは、出品物の画像や商品を紹介する文章などをAIが判断。ブランド品の偽物だったり、法律で規制されているものだったりした場合、瞬時に取引を停止している。
加えて、新品の本を大量に出品して万引を疑われる場合など、出品者の異常行動も強化。大量の類似画像などと比較して偽物かどうかを判断するAI検知では、盗品など商品自体に問題がない場合は問題を検知できないからだ。
さらに警察からの情報や過去の出品データを基に、万引被害の傾向などを分析。異常行動を繰り返す出品者には本人確認を求め、応じるまでアカウントを停止する措置を取る。
違法出品をめぐっては、昨年、メルカリなどの個人間取引サービスで、現金紙幣の出品が相次いだ。融資を受けられない人がクレジットカードのショッピング機能を利用して現金化を図ったとみられている。山田会長は「サービスの健全性が担保されれば、より多くのお客に使ってもらえる」と技術力を強化する姿勢を明確にした。(高木克聡)