ソフトバンクG副社長に就任する佐護勝紀氏 「後継者候補」を孫氏が直接スカウト

佐護勝紀氏
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 日本郵政グループのゆうちょ銀行副社長からソフトバンクグループの副社長最高戦略責任者(CSO)に転身する佐護勝紀氏が、同グループの孫正義会長兼社長から「後継者候補だ」と、直接スカウトされていたことが関係者への取材で19日までに明らかになった。佐護氏は20日に開催されるソフトバンクグループの株主総会を経て正式に就任する。今後、「ポスト孫会長」の一人として佐護氏の手腕が注目される。

 関係者によると、佐護氏とソフトバンクグループとの関わりは昨秋、ソフトバンク側がゆうちょ銀に10兆円規模の「ソフトバンク・ビジョン・ファンド」への出資を持ちかけたことが発端だ。

 当初、ゆうちょ銀で運用業務を取り仕切っていた佐護氏は前向きに出資を検討していたが、相談を受けた日本郵政の長門正貢社長が出資にストップをかけたという。日本郵政とソフトバンクは2015年に郵便局のネットワーク開発をめぐり互いに提訴する異例の訴訟合戦で関係が悪化。「孫氏とは付き合うなという空気が依然として郵政グループ内にあった」(郵政グループ幹部)ためだ。

 それでも佐護氏はソフトバンクグループへの移籍を決めた。もともと3年ほどで退任する考えがあったことや、郵政グループは政治家からの業務への圧力が強いことに加え、後継候補として、孫氏からの熱烈な“ラブコール”が背景にあったからだという。

 結局、佐護氏は、孫氏から持ちかけられたビジョン・ファンドの運用責任者の役割については「リスクが大きすぎる」として断ったが、ソフトバンクグループの投資を統括する副社長CSOとして移籍を決めた。