飲食業の接客研修、人材も定着 ビジネスフードファン・岩本留里子代表 (1/2ページ)


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  • 講演する岩本留里子さん。食に関わる幅広い活動に励んでいる

 外食産業はほとんどが個人経営や中小零細企業であり、競合が多く厳しい価格競争にさらされている。帝国データバンクの調べによると、2017年の外食関連業者の倒産件数は前年比約3割増の707件と2000年以降で最多だった。中小零細は品質に磨きをかけることで大手との差別化を図り、生き残りを模索している。こうした飲食業向けに教育・研修を行っているのがビジネスフードファン代表の岩本留里子さんだ。「接客レベルを向上させることで売り上げと人材の定着率増につなげる」と意欲的に取り組んでいる。

 リピーター獲得

 主に中小チェーン店やショッピングセンターなどを対象に、人材教育・接客研修やマニュアル作成などを手掛けている。接客の質を向上させることで、来店客に心地よい時間や空間を提供し、リピーターの獲得につなげる。同時に従業員向けには楽しく働ける職場づくりや仕組みづくりを進めて人材の定着率を上げ、人手不足を解消させる。

 実際の飲食の現場で役に立つ接客方法を平均5日ほどの研修で一通り伝授している。

 例えば、コートを着たまま着席している客の写真を示し、「どう対応したらいいのか」を受講者に問いかける。寒さのためと察した受講者からは「席を移動してもらう」「膝掛けを渡す」などといった対処法が次々と挙がる。こうした実際の店舗で起こりうるケースを示し、客の要望を先取りして解決策を考えることで、接客の引き出しを増やすことができる。

 飲食業界を悩ませる人手不足解消と定着率アップについては、楽しんで仕事をしてもらうことで解決を図る。飲食業を志す人はもともと接客が好きな人が多い。そこで新人はできる限り、案内や商品提供など、来店客と接する機会の多い業務を任せて、楽しいと感じてもらえるようにしている。

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