【高論卓説】店舗デザインと知的財産権 意匠法の早期改正で保護範囲を拡大 (1/2ページ)

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 先日、特許庁が製品のデザインなどを保護する意匠法を改正し、店舗の内外装についても保護するよう保護範囲を広げることを検討していると報じられた。

 現状の意匠法では、店舗の外観や内装については、保護されないといわれている。意匠法2条1項では、「この法律で『意匠』とは、物品…の形状、模様もしくは色彩又はこれらの結合であって、視覚を通じて美感を起こさせるものをいう。」と規定している。「物品」とは、独立して取引の対象となる有体物を意味すると解釈されており、店舗の内外装のようなイメージは含まれないとされている。

 これに対し、米国では、店舗の内外装について、「トレードドレス」として保護される。トレードドレスとは、「米国で知的財産として認められている概念で、ロゴマークや製品の形状、色彩構成、素材、大きさといった各種要素を含んだ、全体的・総合的なイメージのこと」とされている。これに店舗の内外装も含まれる。

 では、わが国において、店舗の外観などが全く法的に保護されないかというと、以下に述べる通り、不正競争防止法により救済されることがある。

 不正競争防止法2条1項1号では、「他人の商品等表示…として需要者の間に広く認識されているものと同一もしくは類似の商品等表示を使用し…他人の商品又は営業と混同を生じさせる行為」を不正競争行為として規定している。

 「商品等表示」とは、簡単にいえば、自他商品を区別するためのマークなどを意味するもので、通常、店舗の外観などはこれに含まれない。もっとも、店舗の外観などであっても、長年の使用により高い識別力を備えたような場合には、「商品等表示」として保護され、模倣者に対し、差し止めや損害賠償請求が可能とされている。

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