東芝の主力取引銀行である三井住友銀行、みずほ銀行、三井住友信託銀行が融資先格付けに当たる「債務者区分」を上から2番目の「要注意先」から「正常先」に引き上げる方向で検討に入ったことが18日、分かった。2018年3月末に債務超過を解消したほか、懸案の半導体子会社「東芝メモリ」の売却が確定し財務内容が大きく改善されるため。銀行からの融資が受けやすくなり、東芝再生の追い風になりそうだ。
銀行は通常、財務状況に応じて取引先を正常先、要注意先、破綻懸念先などと区分する。区分が下がるほど融資を回収できないリスクに備え、貸倒引当金を多く積む必要がある。逆に、区分が上がれば、引当金は少なく済み、過去に計上した引当金の戻り益も生じることになる。
主力3行は東芝の経営悪化を受け、昨年1~3月期に格付けを正常先から要注意先に引き下げた。東芝は同12月に約6000億円の増資を実施して債務超過の解消が確定的になっていたが、主力行は東芝メモリ売却をめぐる中国当局の独占禁止法審査の遅れなどを踏まえ、債務者区分を据え置いていた。
だが17日に中国当局の審査を通過し、6月の売却完了が正式に決定したことで東芝の財務不安は払拭されるため、主力3行は格上げに踏み切る公算が大きい。各行の19年3月期の収益を押し上げる要因になりそうだ。
一方、主力3行を含む東芝の主要取引銀行7行が、東芝メモリの株式を担保に設けていた必要な時にいつでも資金を引き出せる4000億円の融資枠は売却に伴っていったんなくす方針だ。新たな融資枠を設けるかどうかについては、東芝が策定中の中期経営計画や資金ニーズなどを見極めながら検討する。