映画は映像を見て音声や音楽を聞くもの、ライブはアーティストの演奏を見て音楽を楽しむもの。そうした認識が今、大きく変わろうとしている。映画館にはシーンに合わせてシートが上下や左右に動き、風や光、匂いも出て観客を映画の中にいるような気にさせる装置が登場。技術を見せるイベントでは、ギタリストの演奏に合わせて腕に刺激が伝わる仕組みや、映像の展開に合わせて手にしたデバイスが左右に引っ張られる仕組みなどが展示され、エンターテインメントを五感で楽しむものに変える可能性を見せていた。
映像に合わせて「重力」も体感
スクリーンの中で、バルキリーと呼ばれる戦闘機が空や宇宙を猛スピードで飛び回る。そんなシーンに合わせて、座っているシートが左右や上下に動いて観客に重力を感じさせる。TOHOシネマズにある、MX4Dと呼ばれる4Dシアターシステムが導入されたスクリーンで、5月11日から公開された映画「劇場版マクロスΔ 激情のワルキューレ」を鑑賞すると、ドッグファイトのシーンでは自分がバルキリーに乗っているような気になってくる。
「ワルキューレ」という5人組の女性音楽ユニットがライブを行うシーンでは、ストロボがさまざまな色に点滅し、シートもなめらかに動いて、自分がライブ会場にいてワルキューレのパフォーマンスを間近で観覧している気分になる。女性キャラクターがクローズアップされるシーンでは、甘い匂いが流れてキャラクターを間近に感じられる。こうした演出は、いずれもMX4Dというシステムによって作り出されている。