【私の仕事】同行援護従業者・本部和裕氏 目が不自由な人の外出支援

「どんな手伝いが必要か、必ず相手にたずねてから仕事をする」と話す本部和裕氏(左)
「どんな手伝いが必要か、必ず相手にたずねてから仕事をする」と話す本部和裕氏(左)【拡大】

 訪問介護・同行援護の事業所あじさい(千葉県習志野市)などで、「同行援護従業者」として目が不自由な人が外出する際に、安全で快適に過ごせるようサポートする。

 一緒に歩くときは肩や肘をつかんでもらい、自分が少し前を歩いて周囲の安全を確かめながら進む。「『赤信号になった』『段差がある』といった目から入る情報を、言葉と体の動きで正確に伝える」

 階段では上りか下りか、何段ぐらい続くのかを伝え、転ばないように相手の足元を見ながら歩く。食事を注文するときはメニューを代わりに読み、食べるときは料理がテーブルのどの位置にあるのかを説明する。

 ホテルに勤めていたとき、目に障害がある宿泊客に部屋の案内がうまくできなかった。「どんな人でも対応できるようになりたいと福祉の資格を取った」

 卓球や水泳の教室に通う人、趣味のウオーキングを楽しむ人もいる。「怖い思いをさせず外出が楽しくなるように心がける」

 安全に関する情報だけでなく「空模様や道端に咲く花、行き交う人の様子も伝える」。

 約2年前、遠方からコンサートのために上京した人がいた。「『また案内をお願いしたい』といわれ、次の機会には家族も連れて遊びに来てくれたことが一番うれしかった」という。

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【プロフィル】本部和裕

 ほんぶ・かずひろ 文教大人間科学卒。ホテルに勤務しながら、福祉関連の資格を取得。2009年から視覚障害者支援の仕事に。学校などで講師も務める。45歳。宮城県出身。