□オフィスナビ代表取締役・金本修幸
ここ数年でオフィスシェアリングの利用企業が一気に増えた。シェアオフィスは受付スタッフや会議室、複合機などをシェアすることで、家賃などの固定費だけでなく、人件費、備品・設備費まで抑えられる上、入居企業同士が交流できるメリットもあり、小人数の拠点であれば何かと便利だ。会議室のシェアリングも伸び、採用時期であれば面接や会社説明会の会場としてニーズが高い。オフィス移転の際に、外部のシェア会議室活用を前提としてオフィスを探す企業も増えてきている。
シェアオフィスビジネスで世界大手の米ウィーワーク(WeWork)は今年、日本に初上陸した。年内に10カ所のコワーキングスペースの開設を目指すという。三井不動産は、自社所有のオフィスビルに10分単位で利用できるシェアオフィスを開設し、全国30カ所で展開。NTT都市開発は自社のビルに保育所併設型シェアオフィスの開設を進め、社会問題に対応したオフィスシェアリングサービスも増えている。当社が札幌と神戸で展開している「BIZ SHARE」のシェアオフィス、シェア会議室をみると、札幌ではオフィス入居企業数40社で、会議室の月間利用数が100社を超え、ニーズの高まりを実感している。
オフィスシェアリングは今後ますます多様化、細分化、そして巨大化していくだろう。ブランド力やテーマ性、デザイン、立地の良さ、サービスの充実度など借り手の選択肢が広がり、起業家や複数の拠点を持つ企業にはさらに便利で魅力的になると考えられる。
一方、オフィス以外でもシェアリングエコノミーの市場は広がっている。インターネットとスマートフォンの普及により簡単に情報を発信できるようになり、サービスを必要とする人がダイレクトに受信できるようになった。
例えば自宅や事務所など施設の空き部屋を時間貸しするレンタルサービスは、パーティーなどイベント会場として人気がある。場所や趣味の道具などを時間単位で貸し出すことで有効利用ができ、副業にもなる。
個人の強みを生かし、特有のサービスを時間売りするプラットフォームもある。家事代行やコンサルティング、著名人の人生相談などのニーズが高まっている。対価の支払いにあたり、モバイル決済などITを使った金融サービス「フィンテック」の創出と浸透が大きく寄与している。このほか、月ぎめ駐車場や個人の駐車場の空き時間を活用してシェアする「akippa」やカーシェアリングの「Uber」、自転車のシェアリング「Mobike」など新サービスが次々に登場している。
物、空間、時間、人、ノウハウ…。さまざまなケースでシェアリングビジネスへの対応や活用が求められるようになってきた。
◇
【プロフィル】金本修幸
かなもと・なおゆき 1993年関西大商中退、地場の不動産会社に入社。住信住宅販売(現・三井住友トラスト不動産)を経て、2002年8月オフィスナビを設立し、現職。オフィス仲介契約は累計約8000件に及ぶ。17年にはシェアオフィスサービス「BIZ SHARE」を札幌、神戸に開設。46歳。大阪府出身。