神鋼、データ改竄影響120億円 18年3月期 3年ぶり黒字

記者会見する神戸製鋼所の勝川四志彦専務執行役員=27日午後、東京都中央区
記者会見する神戸製鋼所の勝川四志彦専務執行役員=27日午後、東京都中央区【拡大】

 神戸製鋼所が27日に発表した2018年3月期連結決算は、最終損益が631億円の黒字(前期は230億円の赤字)となり、3年ぶりに黒字転換した。主力の鉄鋼事業で製品の値上げが浸透したほか、中国で油圧ショベル販売が回復した。売上高は前期比10.9%増の1兆8811億円だった。

 昨年10月に発覚した製品データ改竄(かいざん)の影響額は約120億円だった。このうち顧客への補償費用43億円を特別損失として計上した。

 19年3月期は売上高が5.8%増の1兆9900億円、最終利益が28.8%減の450億円と予想。アルミ・銅事業の利益が大幅に減り、電力事業では新規プロジェクトの先行投資がかさむ。一方、全額出資子会社の神鋼不動産について、7月1日をめどに保有株の75%を東京センチュリーと日本土地建物に約740億円で売却し、300億円の特別利益を計上する。

 データ改竄の影響額は100億円程度を想定しているが、弁護士費用が大半で、これ以外に補償費用などが上乗せされる可能性もあるという。

 東京都内で同日会見した勝川四志彦専務執行役員は、東京地検と警視庁がデータ改竄の捜査に入ったことについて「これにより補償費用が増えるとか受注が減るとかは想定していない」と述べた。

 一方、神戸製鋼の発表で鉄鋼大手3社の決算が出そろい、最終損益は値上げの浸透で新日鉄住金とJFEホールディングスが大幅増益、神戸製鋼が黒字転換となった。

 売上高は全社が増収となった。