「原発の先駆者」日本原電、問われる存在価値 稼働停止・政策転換など打撃、経営綱渡り (1/3ページ)

日本原子力発電の東海第2原発=茨城県東海村
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 原子力発電を専門に手掛ける日本原子力発電の経営の綱渡りが続いている。東京電力福島第1原発の事故後、同社は全く再稼働できず収益が悪化。一方で、再稼働を目指す東海第2原発(茨城県)の安全対策費は膨らみ、株主の東京電力ホールディングスなどに資金調達の支援を頼まざるを得ない状況だ。政府が太陽光発電など再生可能エネルギーを電源の「主力」とする方針を示す中、原発の「パイオニア(先駆者)」を自任する同社の存在価値が問われている。

 “収益”は5社に依存

 「東電と東北電力から資金支援が得られるのは確実といえるのか」「確実に支援いただけると考えている」

 原子力規制委員会が4月5日に開いた東海第2原発の審査会合。委員からの質問に、日本原電の木村仁常務はこう強調した。

 日本原電が保有する4基のうち2基は廃炉作業中で、残る東海第2原発と敦賀原発2号機(福井県)も稼働停止が続いている。敦賀3、4号機の増設計画の国の審査は、福島第1原発事故以降は中断したままだ。

 収益の大半を賄う「販売電力料」は、東電など大手電力5社が支払う維持・管理費など基本料金のみ。2017年3月期は最終損益が64億円の赤字(前期は12億円の黒字)に転落し、経営状況が悪化している。

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