インドで普及が進む電動三輪タクシーの市場で、日本のベンチャー企業「テラモーターズ」(東京都渋谷区)が存在感を示している。デザインや性能で人気を集め、シェアが15%と2位を確保。日系企業で唯一、北東部アッサム州にも拠点を持ち、ネパールやバングラデシュへの販路拡大も狙う。
三輪タクシー「リキシャ」は日本語の人力車が語源で、英国統治期にインドへ持ち込まれた。現在はディーゼルやガソリンを燃料にした「オートリキシャ」が主流だが、深刻化する大気汚染への対策から電動化された「Eリキシャ」への関心が高まっている。
2014年からEリキシャに関する法整備が進み、市場規模は16年度の5万台から17年度は8万台と急上昇。国内外のメーカーが相次いで新規参入し、価格面などでの競争が激化している。
テラモーターズがインド市場に参入したのは15年。当初はインド国内での部品調達を貫いたためコスト高などに苦しみ、販売は振るわなかった。しかし、17年4月から7割の部品を中国から輸入し、デザインや性能を向上させたモデルを発売すると、人気商品となった。17年度の新モデルの販売台数は約8000台と前年度比で10倍になる見通しだ。
テラモーターズは首都ニューデリー郊外グルガオンのほか、アッサム州と東部コルカタに製造工場を持つ。現地法人副社長の中川耕輔さんは「東部に拠点があることで、地理的に中国からの部品調達が容易となる」と利点を強調する。
Eリキシャの製造会社は一時、150社ほどに上ったが、現在は「30社ほど」(中川さん)まで淘汰(とうた)が進んだ。一方、インド政府が電気自動車(EV)の普及拡大を目指すのに合わせ、インド大手マヒンドラ&マヒンドラなどもEリキシャの製造に乗り出した。
中川さんは「10万ルピー(約16万円)を切る低価格帯の商品などバリエーションを増やし、他社との違いを出したい」と話す。年内に新型モデルも発表する予定で、販売台数をさらに倍増させると意気込んでいる。(ニューデリー 共同)