とはいえ、「違法にコミックスをアップロードするやから」をなくすために今やれることは、2つ。1つが、著作権者側が公式にアップロードをして無料で利用できるようにしてしまうこと。もう1つが、違法アップロードによって得られた広告収益を没収する仕組みをつくることだ。
多くの作者が無料公開することは現実的ではないので、肝心なのは、収益を没収する仕組みだ。
これは新聞・出版などのニュースメディアにとっても、喫緊の課題。「まとめサイト」には引用元を明記せずに記事内容を「コピペ」した記事が投稿されている場合が多く、大きな問題になっている。現在、大手まとめサイトとニュースサイト側で問題解決のための交渉が続いているところだ。
この場合のカギも、盗作をした記事に対して支払った報酬を没収することだ。「違法なことであっても、やったもの勝ち」という状況には、ブレーキをかけなければならないのである。
【プロフィル】山田俊浩
やまだ・としひろ 早大政経卒。東洋経済新報社に入り1995年から記者。週刊東洋経済の編集者、IT・ネット関連の記者を経て2013年10月からニュース編集長。14年7月から東洋経済オンライン編集長。著書に『孫正義の将来』(東洋経済新報社)。