東京地裁に民事再生法の適用を申請したスマートデイズに質権が設定されていたことが判明した。設定した会社の代表X氏は、スマートデイズ親会社の監査役を兼務していた人物だ。また、シェアハウス販売を手掛けていた会社が突然移転していた問題も発覚。損害賠償訴訟も起こされるなか、スマートデイズは説明責任を問われている。(東京商工リサーチ特別レポート)
◆謎に包まれた元監査役のX氏
4月9日、首都圏で女性専用シェアハウス「かぼちゃの馬車」を運営するスマートデイズが東京地裁に民事再生法の適用を申請した。負債総額は約60億円。
1月に「かぼちゃの馬車」などのサブリース賃料の支払い停止を公表してから約3カ月。3月27日には、スマートデイズとサブリース(マスターリース)契約をしていたオーナー13名が、スマートデイズや建築会社、販売会社など15社とスマートデイズの役員らに総額2億円の損害賠償を求めた訴訟を東京地裁に起こしたばかりだった。
2月1日、スマートデイズに債権譲渡登記(質権)が設定されたことも事情を複雑にしている。
質権を設定したのは東京都港区に本社を置くA社。A社の代表X氏は、スマートデイズの親会社であるオーシャナイズの監査役を2015年4月22日から今年1月12日まで務めていた人物だ。
4月6日、東京商工リサーチ(TSR)は、スマートデイズを通じてX氏の監査役辞任の理由や質権設定の内容を尋ねたが、4月9日までに回答はなかった。X氏も取材に応じていない。