ソニーグループで介護事業を手がけるソニー・ライフケアは介護付有料老人ホームなどで高齢者の日常生活に癒やしをもたらすロボットセラピーの提供を始めた。ソニーの犬型ロボット「aibo(アイボ)」を用いる。1年間かけて入所者の心身状態の改善効果などの検証にも併せて取り組む。
アイボは人工知能(AI)や複数のセンサーを搭載したコミュニケーションロボットで、鳴き声で感情を表現したりして“飼い主”になつき、ペットのように振る舞う。
傘下のライフケアデザインは、こうした特徴を持つアイボが入所者の日常生活に好影響を与えると判断、4月から同ホーム「ソナーレ祖師ヶ谷大蔵」など3カ所に導入した。新設予定のホームにも導入する。アイボをなでたり話しかけたりすることで得られる癒やし効果が、認知症などが重度化するのを防ぐ効果も期待できるという。
併せて、傘下のプラウドライフ運営の介護施設で18日~来年3月の約1年間検証を行う。具体的には「バイタリティーインデックス」と呼ぶ専門的な手法を用いアイボと触れ合った高齢者の身心がどう改善したかを調べ、施設生活の質の向上につなげていく。
介護施設では従来もレクリエーションの一環でロボットを利用することがあり、産業技術総合研究所(産総研)のアザラシ型ロボ「パロ」や富士ソフトのパルロなどが知られる。矢野経済研究所は少子高齢化の進展でコミュニケーションロボットの普及が進むと予測。国内市場規模は2020年度に約87億4000万円に達するとみている。